管理会計を勉強する前に~損益分岐点って何!?って話~【貝Kブログ(会計ブログ)】

管理会計
損益分岐点とはなに?

「初心者が会計を勉強する前に」をまとめたブログシリーズ、「貝Kブログ(会計ブログ)~初心者が会計を勉強する前にみるブログ~」。今回は、管理会計がテーマです。

管理会計とは何か?

管理会計(かんり かいけい・management accounting・managerial accounting)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

会計は大きく分けて、「財務会計(ざいむかいけい)」と「管理会計(かんりかいけい)」の2種類に分けることができます。

簡単に言えば、会社の外部の人たちのためやっている会計のことを「財務会計」、会社の内部の人たちのためにやっている会計を「管理会計」といいます。

管理会計とは、文字通り、会社の「管理」のための「会計」ということになります。会社の管理のために行う会計は、全て「管理会計」になりますので、管理会計の範囲は非常に広くなります。

例えば「予算」や「計画」という名前がつくもの、中期・長期の事業計画、各事業部や各支店の売上・利益の年度計画と実績管理表などは、管理会計の範囲ということになります。

製造業では、原材料などの材料費を管理するための会計も管理会計の範囲になるでしょう。このように製品の製造に関する簿記のことを、特に「工業簿記」と言っています。

「簿記」とは何?詳細な説明は、こちら→「簿記を勉強する前に~簿記と会計の違いとは何!?って話~」

財務会計と管理会計の違いとは?

財務会計…会社の部の人たちのための会計

管理会計…会社の部の人たちのための会計

「会計の目的」についての詳細な説明は、こちら→「財務3表を勉強する前に~財務諸表とは何!?って話~」

会社の内部の人たちというのは、主に「会社の経営者」ということになります。管理会計の会計情報とは、会社の経営者のニーズに応じて作成されますので、会社ごとに様々な会計情報が作り出されることになります。

会社の経営者の関心とは、「儲けをどうやってたくさん出すか」ということです。会社経営のためには様々な戦略を考え・実行していかなければなりませんが、まずは、経営者は「会社の状況を数字で知りたい」と思います。

会社の状況の中でも特に、「儲けがいくら出るのか」ということが、経営者が知りたいと思う情報になるでしょう。そして経営者は、当然、赤字でなくて黒字を出したい、つまり儲けを出したいと思っています。

そのため、経営者が知りたい情報とは「いくら売上があれば、黒字になるのか」、逆に、「いくら売上があれば、赤字にならないのか」ということになります。

リヤカーでりんごを売る

「いくら売上があれば、黒字になるのか」

「いくら売上があれば、赤字にならないのか」

というのは、管理会計における「ど真ん中の議論」になります。

例題で詳しく見ていきましょう。

〈例題〉

「リヤカーでりんごを売る」という商売を考えてみましょう。昭和的な商売ですが、これを令和の時代に翻訳すれば「キッチンカーでランチを売る」というような商売になるでしょうか(より単純化できるので、ここでの設例は「リヤカーでりんごを売る」にしています)。

中古のリヤカーを900円で買いました。農家からりんごを1個50円で買って(仕入れて)、100円で売ります。

例えば、10個売れたとすると、収益(売上)は100円×10個=1,000円になります。

10個売れたときの仕入れの値段は、50円×10個=500円です。

つまり、10個売るための費用(仕入)が500円かかった、ということになります。

儲け(利益)はいくらでしょうか?

儲け(利益)は、以下のように考えることができます。

「収益-費用=利益」

「収益・費用」についての詳細はこちら。この記事での同じ例題を使っています。→「損益計算書を勉強する前に~収益・費用とは何!?って話~」

10個売れたとき、

収益:1,000円

費用:500円(仕入)

費用:900円(リヤカー)

となりますので、

【収益】1,000円-【費用】(500円+900円)=【損失】▲400円

となり、利益はマイナスで損失となっています。黒字でなく、赤字です。

それでは、一体、りんごを何個売れば、プラスとなり、利益が出るのでしょうか。赤字でなく黒字にするためには、一体りんごを何個売ればいいのでしょうか?

リヤカーの900円は、どうやって費用にするの?という話については、「減価償却を勉強する前に~鉄道会社で始まったという減価償却とは何!?って話~」で詳しく解説していますので、ご興味がある方は見てみてください。

利益が出るためには一体何個りんごを売ればいい?

リヤカーの〈例題〉で、例えば、りんごが20個売れた場合はどうなるでしょうか。

20個売れたとすると、収益(売上)は100円×20個=2,000円になります。

20個売れたときの仕入れの値段は、50円×20個=1,000円です。

儲け(利益)はいくらでしょうか?

20個売れたとき、

収益:2,000円

費用:1,000円(仕入)

費用:900円(リヤカー)

となりますので、

【収益】2,000円-【費用】(1,000円+900円)=【利益】100円

となり、利益100円が出ました!

損益分岐点とは?

損益分岐点(そんえきぶんきてん)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

損益分岐点とは、収益と費用が同じとなる「点」のことです。つまり、利益が0(ゼロ)円となる「点」のことです。

つまり、「いくら売上があれば、黒字になるのか」、「いくら売上があれば、赤字にならないのか」の境界線の「点」のことです。

赤字と黒字の境界線上の「点」ということになります。

損益分岐点には2種類あります。

  • 損益分岐点売上高(そんえきぶんきてん うりあげだか)
  • 損益分岐点販売数量(そんえきぶんきてん はんばいすうりょう)

*)その他、損益分岐点比率と呼ばれるものなどもあります。

リヤカーの〈例題〉では、りんごが18個売れた場合が「損益分岐点」になります。

18個売れたとすると、収益(売上)は100円×18個=1,800円になります。

18個売れたときの仕入れの値段は、50円×18個=900円です。

儲け(利益)はいくらでしょうか?

18個売れたとき、

収益:1,800円

費用:900円(仕入)

費用:900円(リヤカー)

となりますので、

【収益】1,800円-【費用】(900円+900円)=【利益】0円

となり、利益はプラスマイナスゼロとなりました。

このとき、「損益分岐点売上高」は、100円×18個=1,800円で、1,800円になります。

「損益分岐点販売数量」は、18個になります。

損益分岐点分析~管理会計の「ど真ん中」~

このような計算をすることを「損益分岐点分析(そんえきぶんきてん ぶんせき)」と言ったりします。

「損益分岐点」は、「管理会計」の大きなテーマの一つであり、管理管理会計のど真ん中の議論と言えるでしょう。

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